新型コロナと就活~サーキットブレイカー中のシンガポールで思うこと【1】

1.新型コロナの深刻化

こんばんは。在シンガポールの中村です。世界的に、新型コロナで多方面に大きな影響が出ています。当地シンガポールでは、1月下旬までは、グランドハイアットでのビジネス会議等、”海外からの訪問者の感染”が何件か報道され始めていた以外は、一般市民にとっては未だ「自分ごと」という雰囲気はありませんでした。それが一気に大ごとになったのは、SAFRAジュロン(シンガポール軍関連のレクリエーション施設。下記写真)のレストランでチャイニーズニューイヤーをお祝いする家族・友人同士の食事会で、複数の感染者が報告された2月半ば以降だと思います。ここから、他にも複数の感染者が出た”クラスター”が発見され始め、3月以降は、オフィスやショッピングセンターの入館には検温が必須化。そして4月7日以降、”サーキットブレイカー”となり、在シンガポールの人々(国民・外国人を問わず)は原則、在宅となりました。このサーキットブレイカーは当初5月4日までの予定でしたが、4月半ばに6月1日まで延長されました。

このような状況で、いわゆる企業活動には甚大な影響が出ているのは言わずもがなですが、学生さんにも大きな影響が及んでいます。本日は、現地のポリテクニック(日本の高専的な位置づけ)・大学生・大学院生の現状に触れたいと思います。

2.シンガポールにおける”インターン”とは

シンガポールでは通常は5月から7月末までの3カ月がサマーインターンの時期です。就活の一環で非常に短期間行われる日本のインターンとは異なり、当地では学部生・大学院生ともに「実務経験を積む」ことを目的に殆んどの人がこの期間に何らかのインターンを行います。企業側も仕事内容によっては、この時期のインターンを”戦力”として期待している場合も多いです。しかしながら、今年に関しては、現時点で多くの企業がインターン内定をキャンセル😭 いわゆる正社員としての就職は更に厳しく、企業にとっても学生さんにとっても大変な状況です。

そのような中、4月後半の時点では検討中だった政府支援プログラムが確定しました。対象はシンガポール人・永住権保持者のみですが、承認された場合、何と政府が給与の80%をカバー、企業側の負担は20%で済みます🤩
2週間前の段階で私がシンガポール国立大学(NUS)ビジネススクールから得ていた情報では67%でしたが、結果的にかなり太っ腹な%になりました!6月以降の施行で、期間は最大12カ月です。ホストする企業は100%外資でもOK。当地の助成金申請条件でよくあるローカル資本30%の縛りはありません。この時期、キャッシュショートしておらず直近の仕事が回っている企業にとっては、ある意味、採用のチャンスと言えます。

ただ、これらの支援の「対象者」の学生さんはシンガポール人もしくは永住権保持者のみで、仮にシンガポールに何校かある国立大学に正規留学していたとしても「外国人」は今のところ対象外です。

3.アメリカより難しい?留学生のシンガポール就活

この「シンガポーリアンファースト」は、新型コロナ前からジョブマーケットの大前提となっていました。確かに「自国民が出来る仕事を外国人が奪う」としたら問題ですが、例えばアメリカの場合、学位が取得できる正規留学生として4年生大学や大学院(通常2年)で学ぶ外国人留学生には「プラクティカルトレーニングビザ(OPT)」が取得でき、学んだことを活かすチャンスがあります。シンガポールの場合、MOE(教育省)からの特別な奨学金を得て留学している学生(非常に少数)以外には、このようなサポートはありません。学生ビザが切れるまでに就労許可書を出してくれる企業に就職するか、自分で起業し自力で該当するビザを取得するかの2択です。特に日本からの学生さんは「企業派遣」でMBA等に留学するケースも一定比率であるようですが、一般的には、勤務先とは全く紐づかない形で私費留学している学生の方が圧倒的に多く、これらの人は留学をきっかけに何とかシンガポールで仕事をしたいと考えている人が殆んどです。OPTに該当する制度が無いことやシンガポールでの就職が実はかなり難しいことを知らない方が多いため、がっかりする場合も少なくないと聞きます。北米やヨーロッパより仕事が見つかりやすいと考えてシンガポールを選択する留学生も少なく無いですが、ひと昔前とは異なり、非常にハードルが高くなっています。私の意見としては「学費」として大きなお金をシンガポールにもたらしている以上は、何かしら、外国人学生への支援もあるべきなのでは、と思います。

これ以外にも、外からは見えにくいシンガポールの側面は色々ありますが、今回の新型コロナで浮き彫りになったことを中心に、引き続き、レポートしていきたいと思います。